2013/07/26

『リディアの庭』



サラスチュワート(著)
デイビッド スモール(イラスト)
福本友美子(翻訳)


とても素敵な女の子の物語。


絵も可愛らしくて、

リディアが育てた花たちをみると、

心の中にも花が咲くみたい。


リディアの魅力は、

自分の好きなことで人を笑顔にしたいと、明るく頑張るところ。

秘密の場所を色とりどりの花で飾って

お世話になっている叔父さんを喜ばせようとする彼女は、

とてもチャーミング。

誰もが彼女に協力したくなるだろうし、

愛さずにはいられないだろうな。


この絵本を読んで、

単純なことに、ガーデニングをしたくなってしまった。

ちなみに、リディアが作った屋上庭園を堪能できる見開きのページは、

『こねこのぴっち』(ハンス・フイッシャー作)のお庭の場面に、

その幸福な色合いが似ている。

ぴっち好きの人なら、わーお、となること間違いなし、です。


うーん、原本も欲しい!






-- iPadから送信

2013/07/04

『ありがとう、フォルカーせんせい』


パトリシア・ポラッコ:作・絵
香咲弥須子:訳
岩崎書店


すべての子どもには、

守り、信じ、励まし、愛してくれる大人が必要なんだ。

トリシャにとってのおばあちゃんやフォルカー先生のように。


読み終わった時、そう感じました。

この絵本は、素晴らしい絵本です。

すべての大人に読んで欲しいです。

特に、親や先生には、ぜひ。

そして、色々な障害やいじめに悩んでいる子どもたち、

いじめをしてしまっている子どもたちにも読んで欲しい。

わたしにとっても、気づきの多い、心に残る絵本でした。


最後、ついに本を読めるようになったトリシャが、

本と蜂蜜の瓶を抱きしめながら涙をぽろぽろこぼすシーンには、

胸が熱くなりました。

なんだか、本を読むことの素晴らしさを、

幼いトリシャから改めて教えてもらった気がします。


「ハチミツは あまーい。本も あまーい。
 
 よめば よむほど あまくなる!」 



世界中のすべての子どもたちが、

心からそう思える世の中になるよう、

わたしにもできることを少しずつやっていこうと思います。


まずは、我が子と楽しく絵本を読んでいこう!

本との楽しい思い出を、たくさん作っていけるよう、

わたしにできるサポートは、なんでもどんどんしていこう。

そしてわたしも、

守り、信じ、励まし、愛することができる大人になれるよう、

子どもの心と向き合って生きていこう。

わたしは思い込みの激しい人間だから難しいかもしれないけれど、

子どもの表情と心をしっかりと見る努力をしていこう。

おばあちゃんやフォルカー先生みたいな大人になろう。

『かえでの葉っぱ』

D・ムラースコヴァー:文
関沢明子:訳
出木根育:絵


『ペンキや』で出久根さんの絵にほれ込み、

この絵本の表紙の美しさに心打たれて手に取りました。

一枚の美しい金色のかえでの葉(片方のふちがピンク色というオシャレさん)が、

遠く遠くへ行きたいと願い、

優しい少年や、ツバメに出会って、

畑や草原を飛んで川に流れて、

そしてだんだんと枯れ葉になって、

空の星を見上げて歌って、

最後はかえでを遠くへ飛ばしてくれた少年の焚き火の葉となります。


 だれでも焚き火のそばでは幸せになるのです。
 
 なぜかはわかりませんが、そうなのです。


ラストのこの言葉の意味を考えながら、

もう一度絵本を読み返してみて、

確かにそうだなぁとしみじみしてしまいました。

焚き火には、

枯葉や乾いた小枝を使います。

その一枚一枚、ひと枝ひと枝には、

焚き火をするその時まで、

それぞれの人生があったのです。

落ち葉になるまで、たくさんのものと出会い、

もしかしたら、この絵本の美しいかえでの葉のように、

風を感じ、空を見上げ、歌ったのかもしれません。

かえでの葉が言うように、

かつてはきれいな緑色だったり、きれいなつぼみだったのかもしれません。



そう思いながら焚き火を見つめると、

なんだか心まで暖かくなる気がします。


絵画のように美しい絵があるだけでなく、

詩のような言葉が一冊の本の中に広がっています。

ずっと手元において、飾って、何度でも読み返したくなる絵本です。

『もこ もこもこ』



谷川俊太郎:文
元永定正:絵
文研出版

娘:1歳3ヶ月


まず、タイトルからしてイイ。

『もこ もこもこ』

の最初の『こ』が、すこーしだけ上がっているのです。

なので自然と、

もこ↑ もこもこ というイントネーションで読むことになるのですが、

そのイントネーションがなんだか不思議な感じで、

読んでいるこちらが楽しくなってしまいます。


大人がそんな調子なので、

もちろん子どもは大うけも大うけ。

表紙から笑っています(今日、ウヘヘと笑いました。ウヘヘって。笑)。

ちなみにウチの子は『ぽろり』の場面でもかなり笑います。

谷川さんも元永さんも、

どちらの作家さんの絵本も大好きなので、

そのコンビ作品となればヒット間違いなしとは思っていましたが、

親子揃ってお気に入りしてしまいました。

図書館で借りてみたのですが、買おうと思います。


大判の絵本の端から端まで、

思い切り不思議で、きれいで、素敵な絵本です。

元永さんの絵はよくわからないのですが、

色のコントラストもとても綺麗。

背景の空の色とかも(空なのかどうなのかも怪しいのですが笑)、

じーーーっと見ていると、

落ち着いた気持ちになります。


私は絵本の好みが偏っていたので、

子どもが生まれてなかったら出会えなかった絵本でした。

子どもに感謝!


2013/07/03

『赤ちゃんが大好きな絵本』 赤木かん子・加藤美穂子



なるほどなるほど、そうやって読むと赤ちゃんは楽しんでくれるのか!!

という発見が色々とできる本。

Part1から4は赤ちゃんやお母さんにおすすめの本の紹介で、

Part5は「子どもによい本って、どんな本?」という質問に答えてくれます。

あと、語り口調なのも親しみが持てて読み易かった♪

妊娠中のママさんにもおススメの本です。

以下は、本から抜粋の言葉や私自身の感想になります。

うーん、なんかワクワクしてきちゃった!!

早く絵本読んであげたいなー。早く明日にならないかなーー。


【絵本紹介文からの抜粋】

・絵本に便乗していろんな言葉掛けができることが、読み聞かせのメリットです。

・おひざにだっこの読み聞かせが定着していると、どこへ行っても落ち着いてお話が聴けます。


・同じ本ばかりで読むのがしんどい時は、読み方をアレンジしてみて。


・読み終わっても、絵を見ているうちは、心行くまで絵にひたらせてあげてください。絵からいっしょうけんめいお話を理解しようとしているところです。ストーリーのある絵本は、ゆったりと子どものペースに合わせることが、何より大事です。


・早く寝かせたいときは、落ち着いた色彩の、繰り返しのフレーズが多い本が一番です。照明を落として、低い声でゆっくり読み聞かせてください。こもりうたのように。



また、おすすめ絵本の紹介ページには、

読み聞かせのコツも書いてあります。

たとえば『くらい くらい』のページには、

「でんきをつけてちょうだい」のあとに、「カチッ」とスイッチ音を入れながらページをめくると、劇的に楽しさが増します!

など。

絵本の表紙と共に読み聞かせのヒントがたくさん載っているので、
内容を覚えておきやすいなと思いました(本屋さんや図書館で見つけやすそう!)。

特に赤ちゃん絵本は、どの絵本が子供のツボなのか、もう大人になってしまった自分には想像力が及ばないことがあるので、

その道のプロ(たくさんの赤ちゃんに読み聞かせをしてきた方)のおすすめを知っておくことは、

とても心強い!!


 言葉、というのは、使いかたによっては呪文であり、呪いの言葉になりえます。
 でも、うまく使えば、呪いを解き、お守りにもなってくれるのです。
 疲れたり、悲しくなったりしたら、このバニーのママの言葉を声に出して、唱えてみてください。
 頭の中で考えているだけでなくて、実際に声に出していってみるとその言葉は固まって
 あなたを守るよろいやかぶとや杖になり、あなたを助け、支えてくれるはずですから。
 
 ―『いいこって どんなこ?』の紹介文から引用

 ぼんやりとしがちな気持ちも、ちゃんと声に出していってみるとはっきりしっかりします。
 いわなくては人には伝わりません。とっさには人は言葉がでないものです。
 いう練習も必要です。
 
―『こころからあいしてる』の紹介文から引用


確かに、絵本は、感情をシンプルに、でも深く表現しているものが多いから、

絵本の読み聞かせをしていくことで、

自分の気持ちを相手に届ける言葉を発する練習にもなっているのかもしれないなぁと思いました。

「こころから愛してる」とか、

「あなたが世界で一番大事」とか、

「いつもいつも一緒にいたいんだ」とか、

「可愛い赤ちゃんの 可愛いお鼻にチュッ」とか、

なかなか口に出さない言葉だけど、

絵本で繰り返し読んでいるうちに普通の言葉な気がしてきちゃって、

いまでは日常でバンバン言っているという。

絵本ってスゴイな、と改めて感じてしまいました。

また、以下はPart5の抜粋と感想です。


【子どもによい本って、どんな本?】

・赤ちゃんと本に対する基本スタンスは、こちらの思い通りにしようと頑張らない、赤ちゃんに沿う、ということです(笑)。赤ちゃんの鼻面をつかんで引き回そうとせずに、赤ちゃんがハイハイしていくあとから、にこにこ笑ってついていけばいいんです。

・赤ちゃんはまだ本1冊、つながっていることはわかりません。ですから赤ちゃん用の絵本というのは物の羅列なんです。大人はつまらない、と感じるかもしれません。でも大事なことはあなたがその本を楽しむことではなく、赤ちゃんがその本を楽しむことです。あなたはその喜んでいる赤ちゃんの顔を見て、楽しんでください。

・繰り返し読みの時期は一生でほんの一時期しかありません。どうぞ本ではなく、子どもの満足した顔を見て、子どもを幸福にしていることを楽しんでください。

・どんな本を読むかも大事ではあるけれど、それよりも、どれだけ深く楽しむか、どれだけそこから楽しみを引き出せるか、どれだけ子どもが幸福か、のほうがもっと大事、ですよ。

・若いほうがビジュアルセンスは現役なんです。子どもがこれが素敵、といったものが素敵なんですよ。

・絵本の読み聞かせでは、赤ちゃんの興味を引くことが重要です。ポイントは以下の通り。
①抱っこなどで、肌をふれあいながら。
②ゆっくりはっきり、抑揚をつける。
③目を見て、語りかけるように。
④赤ちゃんの反応を、受け止めて返す。
本は楽しいという気持ちが伝わるよう、明るくにこやかに読むとよいでしょう。


あとは、赤ちゃんにも貸出カードが作れるというお話は、目からウロコ!!!

来週月曜に図書館へ行ったら、まっさきに優衣の図書カードを作ろう!

そしたら、いっぺんに30冊借りれる!

優衣用の絵本15冊とママ用の絵本(あと本)15冊で平等だしね!笑

うん、というわけで、とてもためになった本でした!


あーんど、以下、図書館で予約数オーバーしちゃった絵本、メモ。

『ちっちゃなミッケ!』
『ねむいねむいおはなし』
『ストライプ たいへん!しまもようになっちゃった』
『いいこって どんなこ?』
『こころからあいしてる』
『世界で一番美しい人体図鑑』

『海になみだはいらない』 灰谷健次郎

子どもの心と眼差しに、寄り添い続けた灰谷さんの作品。

その灰谷さんのメッセージが、

登場人物の言葉や心、眼差しのひとつひとつに込められている気がする。

灰谷さんのお話を、説教くさいと批判する人もいるみたいだけれども、

灰谷さんの言葉は、上から目線の言葉じゃない。

これは、お説教なんかじゃない。

あまりにも本当のことを書いているので、

大人の心ない言葉にどれほど子供が傷つくかとか、

子どもの方が大人よりもたくさんの心を砕いていることとか、

そういう、大人にとって痛いことが書いてあるから、

批判する人がいるんじゃないかなと、私は思ってしまう。

実際に、わたしも痛かった。

自分が抱えている偏見とか傲慢さとかを、見せつけられた気がした。



この本は、三つの作品からなる。

『海になみだはいらない』

『きみはダックス先生がきらいか』

『ひとりぼっちの動物園』


いま、タイトルを見返しただけで、

登場人物達の言葉や気持ちが蘇ってくる。

(タイトルはこうじゃないと!!)


特に考えさせられたのは、

『ひとりぼっちの動物園』。

5つの物語から成っているのだけれど、

それは一つの詩から始まる。


あなたの知らないところに

いろいろな人生がある


あなたの人生が


かけがえのないように


あなたの知らない人生も


また かけがえがない


人を愛するということは


知らない人生を知るということだ



そうして物語をひとつひとつ読み進めていくうちに、

ひとりひとりの人生に思いを馳せる。

自分が子供と接するとき(大人でも同じだけれど)、

わたしは私がこの作品の中で嫌悪したような大人になっていないだろうか。

そう、自問自答せずにはいられない。

何度も読み返したい本だ。

以下、心に残った言葉。


「いのちというもんは消えるとがっかりする。生まれるとからだのまん中がいつまでもあったかいもんや。
―亀山さん 『ひとりぼっちの動物園』

「動物はみんな自然からのかりものや。遠いジャングルや氷山からつれてこられて、やけも起こさず、みんないっしょうけんめい生きとる。動物の中にわるいやつが、たった一ぴき、たった一頭もいないのは、みんないっしょうけんめい生きとるからや。人間もいっしょや。いっしょうけんめい生きとるやつにわるいやつはおらへん」「そういうわけやから動物園の動物は、できるだけ健康で、たくさんの子どもが生まれるようにしてあげんといかんのや。それが自然からのかりものをかえすことにもなるのや」
―亀山さん 『ひとりぼっちの動物園』

「わたしたちの先生は美しく歌をうたうことだけでなく、歌の心を教えてくれました。ひとりひとり顔かたちのちがう人間が心をあわせて、一つのことをやりとげるのは、世の中でいちばん美しいことだと教えてくれました。」
―キヨコ 『きみはダックス先生がきらいか』


そして、ドヤ街の子ども館で子どもたちが歌っていた歌。


きみの
おとうさんは戦場で死んだ
弾にうたれて
きみの
おかあさんは台所で死んだ
やっぱり弾にうたれて

そして きみは

生まれてこなかった
けっして生まれてこない
子どもになった

きみからは

きみの子どもが生まれる
きみの子どもからも
子どもが生まれる

やがて地球を

おおいつくすだろうきみの子どもが
いま 死んだ

夜 目をさますと

きみがわらっている
じっとぼくの目を見てね

夜 目をさますすべての人が

きみの笑顔を見るように


夜 目をさますと

きみがわらっている
じっとぼくの目を見てね

きみは公園を知らないし

ミルクも飲んだことがない
だから子どもじゃないと
もしだれかがいったら

涙を知らないおとなでも

やっぱりおとなっていうじゃない

そういっておやり


きみとぼくには

ことばはいらない
おなじ夢を見れば
ことばなんていらないさ

きのう、ぼくは夜おそくまで

世界地図を見ていただろう

旅をする人は地図を見て

旅のできない人は夢を見るっていうけれど
きみのような子どもを見るために
地図を見る人間だっているんだよ

泣くことのできなかった子の涙やら

わらうことのできなかった子のわらい声を
たしかに見ききするために
ぼくは新聞のニュースより
一枚の地図のほうをえらぶんだ

『まおちゃんのうまれたひ』



神沢利子:さく
加藤チャコ:え
のら書店

[娘、1歳3ヶ月時初回読み聴かせ]


そっと抱きしめたくなるような、美しい絵本です。

「くまの子ウーフ」の作者、神沢利子さんが、

あかちゃんと、かつてあかちゃんだった

お母さんに贈る絵本。


全てのページが、

優しくて明るく美しい色彩に満ちていて、

言葉のリズムも心地よく、

娘も最後のページまでじーっと見ていました。


まおちゃん、のところを、

自分の子供の名前に言い換えて読むと、

子どもが喜ぶばかりか、

親である私の気持ちもホンワカと温かになります。



うまれたばかりの まおちゃんの

ちいさな てが つかんだのは はるのくうき


まおちゃんに さいしょに ほおずりしたのも


はるのくうきよ



   まおちゃん うまれて おめでとう


   これから いつも いっしょだよ



だれにも きこえない こえなのに


あかんぼ まおちゃん へんじした


ちからいっぱい


あおー あおー おわぉー



たくさんの春の花や動物たちに囲まれて、

だいすきなママの腕に抱かれて、

うまれたばかりの あかんぼ まおちゃん。

大自然のすべてが、地球のすべてが、

まおちゃんの誕生を祝福してくれます。

山は 山いっぱいの おめでとうを抱いて。

海は 海いっぱいの おめでとうを抱いて。

普段の都会での生活では忘れてしまうけど、

子どもと一緒に浜辺で遊んだり、

満天の星空を見上げたり、

青々とした木々を見ていると、

たくさんの自然や生き物が、

おめでとうって言ってくれている気がします。

赤ちゃんは、愛しい贈り物。

そんな気持ちを、そっと思い出させてくれる絵本です。


娘もちょうど同じく春の日生まれ。

何度も繰り返し読んであげたい絵本に、

また今日も出会うことができ幸せです。