2014/02/28

『さくら』まど•みちお

まどさんの詩。どれも好きだけど、『ぼくが  ここに』と同じくらいに好きな、『さくら』。


『さくら』 まど•みちお

さくらの つぼみが
ふくらんできた

と おもっているうちに
もう まんかいに なっている

きれいだなあ
きれいだなあ

と おもっているうちに
もう ちりつくしてしまう

まいねんの ことだけれど
また おもう
いちどでも いい
ほめてあげられたらなあ…と
さくらの ことばで
さくらに そのまんかいを…

まど•みちおさん

まど•みちおさん。

まどさんが遺してくれたもの。それは、たしかに今も、ここにある。目の前の詩集や絵本に。お母さんの子守唄に。こどもたちの歌声に。

まどさんの言葉。それはずっと、心のなかに居続ける。明るい思い出や、柔らかい気持ちと一緒に。生涯きっと。


『ぼくが  ここに』
作: まど•みちお

 ぼくが ここに いるとき
 ほかの どんなものも
 ぼくに かさなって
 ここに いることは できない

 もしも ゾウが ここに いるならば
 そのゾウだけ

 マメが いるならば
 その一つぶの マメだけ
 しか ここに いることは できない

 ああ このちきゅうの うえでは
 こんなに だいじに
 まもられているのだ
 どんなものが どんなところに
 いるときにも

 その「いること」こそが
 なににも まして
 すばらしいこと として

2014/02/20

『私の船長さん』




作・絵: M.B.ゴフスタイン

訳: 谷川 俊太郎
出版社: ジー・シー 


ゴフスタインの描く、小さなロマンス。


私は木製の小さなお人形。窓枠にある漁船を見下ろすのが好き。なぜなら、そこにはきっと船長さんがいるから。船長さんは私に会いにきて、きっと結婚を申し込む。2人は楽しく食事する。彼が長い航海に出る間はおるすばん。おだやかな航海を祈りながら。私は、漁船をみるのがすき。なぜなら、彼がそこにいるとおもうから。。。


そんなお人形の物語が、シンプルで可愛らしい絵と、谷川俊太郎さんの日本語訳で語られている。


机の上の置物ひとつにも、小さな物語があるのかもしれない。そうだとしたら、とても素敵だな。この絵本を読むと、そんな考えがふとよぎる。折に触れて静かに読み返したい絵本。

2014/02/17

『地球パラダイス』




詩: 工藤 直子

絵: 石井 聖岳
出版社: 偕成社



地球との遊び方を教えてくれる絵本。


風やススキやアリやアジサイやお日様は、きっと、こんなふうにお話してる。こんなふうに遊んでる。

かけおりた北風が
ミノムシを ちょんと つついて口笛ふいた
♪ヒュウ・ヒュウ きみ かわいいね

この小さな生き物は、いまなにをしてるのかな?ヤツデと蝶はなんてお話してるのかな?そんな視点で自然を見つめてみたい(子どもの頃は何にも考えたり心がけたりしなくても、それをしていた気がするのだけれど)。わたしも、大人になるにつれ、一緒に遊ばなくなってしまった自然や小さな生き物たちと、遊びたいなぁと思った。しばらくご無沙汰していた幼馴染と、再会できた!という気分。これからは、また、少しの時間でもいいから毎日遊びたいな。

作詞家の工藤さんは、石井さんの絵を、「ひろびろ・きらきら・さやさや」で、「わーい」とおっしゃっていて。たしかに、詩のあとに広がる一面の絵は、「わーい」という感じだ。この四角い世界にも、地球の遊び場がある。エネルギーを感じる。

子どもと一緒に公園行きたくなってきちゃったな!笑

『りんごかもしれない』



作: ヨシタケシンスケ

出版社: ブロンズ新社


タイトルに魅かれて思わず手にとった(絵もなんだか可愛いし)。


あれは本当は○○かもしれない、、、。そんな想像を、子供の頃たくさんしたなぁ、と思い出した。グルグルグルグル考えて、面白くなったり不安になったりして、でも「ご飯よー!」とか呼ばれるとパーっと忘れてしまうという、、、笑

そんな楽しい思い出が蘇ってくる絵本。しかも、とっても面白い!!なんどもププッてなってしまった。特に「おじさんりんご」と「なにかのあいずなのかもしれない」説に噴き出した。最後のオチも好き。そしてカバーの折り返し部分のイラストも。りんごの次はそれか~っ!と笑ってしまった。

子供も喜ぶと思うけど、大人が読んでも笑える、気付きとユーモアのある絵本だと思った。「考える」って、こんなに楽しいことなんだよなー。妄想というか発想というか、もっといっぱい楽しもうかな。通勤電車の中で、もしかしたらみんな人間の姿してるけど人間じゃないかもしれない、とか、あの傘はほんとは生きてるのかもしれない、とか。子供と、そうやって遊ぶのも楽しいかもな。子供の発想ってすごいから(それこそ、この絵本の少年みたいに)。あー、でもこの遊び、永遠に続きそう。笑

あと、りんご好きのうちの一歳児は、いたるところにあるりんごを探しては喜んでいた。そういう楽しみ方も、ありかもしれない。笑

『ゴールディーのお人形』



「私が本の中で表現したいと思っていることは、自分が信じるすばらしい何かを作り出すために黙々と働く人の美しさと尊さです。そして、本はだれか人が書いたということを知って以来、私は本を書く人になりたいと思っていました。」
M.B.ゴフスタイン

心を込めて仕事をすることの美しさ、尊さを教えてくれる絵本だった。どんな自己啓発本よりも、仕事に対する考え方を啓発された。そして、ゴールディーの考え方や言葉に、とても心あたたまった。

パン屋さんで、自分が作ったお人形を大切そうに持っている幼い少女に名乗らなかったゴールディー。四角く切った木っ端で作ったほうが楽なのに、それだと「生きてる」感じがしないから、森で枝を拾って人形を作るゴールディー。心を込めて丁寧に丁寧作ったお人形は、見る人を笑顔にして、どうしても買わないではいられなくなる。そしてそうやって心のある仕事をしていると、他の人の心がこもった仕事に気づく。

心を込めて仕事をするということ。心を込めて、自分や他人と向き合うということ。真摯に生きるということ。そのことの尊さを静かにそっと教えてくれる絵本に出会えてことが、とても幸せなことだと思った。

『犬になった王子』



文: 君島 久子
絵: 後藤 仁
出版社: 岩波書店 


美しい絵とチベット民話という異国の雰囲気に惹かれて、一目惚れ購入。

読みながら、宮崎駿さんの『シュナの旅』を思い出した。宮崎作品の中でもおりに触れて何度も読み返してきた大好きな作品で、『犬になった王子』とどことなく似ている、、、。と思っていたら、後藤仁さんのあとがきで知りました!この民話、まさに『シュナの旅』の原作だった!!

王子の勇気と知恵、そしてゴマンの愛情で、窮地を切り拓いていく物語。民を貧困から救うため王子自ら旅立っちゃうところが、まことに格好いい。文の美しさもさることながら、絵の美しさは折り紙付きで、思わず見惚れてしまう。これまた『シュナの旅』と同じく、何度も読み返したくなる作品に出会えて良かった♪

2014/02/16

『ブルッキーのひつじ』












だいすきって、こういうこと。たいせつにするって、こういうこと。

シンプルで愛嬌のある絵と、リズミカルで可愛らしい文が絶妙にマッチして、くりかえし読みたくなる絵本。まるで歌みたい。


そこでほんをよむのを おしえたが、
なにをよんでも
めえ めえ めえ

だけどやっぱり だいすきだった


とか、


だいすきだいすき かわいいこひつじ
みみのうしろを かいてやる

こひつじは いった
めえ めえ めえ
そうして ぴったりよりそった。


とか、
なんだか胸がいっぱいになって、泣きそうになる。

なんか、0歳の頃の娘との会話や散歩や抱っこを思い出す。
娘も、あー、とか、うー、とかばかりだったけど、
ああ、いま喜んでるんだなぁ、とか、
一緒に歌ってる!とか、
すごくよくわかった。

そのときの、なんとも言えない甘い幸福を、いつまでも忘れずにいたい。

忘れちゃいそうになったら、
またブルッキーのひつじを読もうかな。