2013/12/19

『たくさんのドア』




作: アリスン・マギー
絵: テウン・ユ
訳: なかがわ ちひろ
出版社: 主婦の友社 



子どもが歩き始めたばかりの頃、

ずっとその手をつないでた。
まだ歩き方はぎこちなくて、
怪我をするんじゃないかと心配で、
手を放すことなんてできなかった。

少し大きくなったら、

私の手を放して歩くようになった。
猫を見つけたり、
犬を見つけたり、
川や、海や、空や、星を見つけて。
大きな声で、教えてくれる。
それは本当に、
まるでひとつひとつ、ドアが開けられていくようだった。
ドアが開いて、そこに現れる世界。
初めて出会った、その驚きと、感動。
怖いことも、泣きたくなることもあったけど、
声をあげて笑うことのほうが多かったね。

そんな娘との時間に、
優しい言葉と絵で寄り添ってくれる絵本に出会えた。

娘は、この絵本の心地の良い言葉のリズムと、
可愛い犬に惹きつけられて(娘は犬が大好きなのです)、
意味はわからないながら、最後まで聴いてくれた。
たぶん、私がすごく感情移入して読んでたからかな。
一緒に読んでくれている感じだった。

繰り返し紡がれる言葉が、心にひびく。

「きょうも あしたも あなたは
 たくさんの ドアを あけていく
 そのむこうに
 たくさんの よろこびが まっている

 あなたは どんなひとに なり
 いったい どこへ いくのだろう
 どうやって こたえを みつけていくのだろう」

娘の開けていくドアの向こうに、
これからも、たくさんの喜びがありますように。
読みながら、そう祈らずにはいられない。
これからさき、娘の人生にも、
どんなにか辛いことがあるかもしれない。
でも、そんなときは思い出してほしい。
あなたは、たくさんのものに守られていると。

絵本のクライマックスも、とても好き。
この絵本は、小さな人から大きな人まで、
たくさんの人に愛される絵本だと思う。
やっぱアリスン・マギーさん、大好き。

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