2013/12/26

『チャイブとしあわせのおかし』



作: エミリー・ロッダ
絵: たしろ ちさと
訳: さくま ゆみこ
出版社: あすなろ書房 


表紙には、美味しそうなケーキをトレイにのせた太っちょなハツカネズミ。


チャイブはケーキ屋さん。
チャイブの作るケーキはみんなを笑顔にする、しあわせのおかし。
でもある日チャイブは、スターになった昔の友達と再会して、
学生の頃と全く変わらない自分に嫌気がさして、、、

ネコイラン町のチュウチュウ通りを舞台に繰り広げられるこのチュウチュウ通りシリーズでは、
それぞれのハツカネズミの人生と仕事に対しての考え方が描かれている。
でも、難しいことは一つも書いてなくて、
それでいてお話に芯があって、
一緒に読んでいる大人も楽しめる。

それはこのチャイブの物語も同様で、
わたしは自分の人生と照らし合わせ読んだりする。
子供は、チャイブのケーキに興味しんしん。
チャイブは、またあの美味しそうなケーキを焼いてくれるのかな?

児童読みものはハッピーエンド(あるいはしっかりとした希望がある終わり方)がいいなと思うのだけど、
チュウチュウ通りシリーズは、ぜんぶハッピーエンドで、読み終わったとき、親子揃って安心できる。
だから好き!

『おにいちゃんになるひ』




作: ローラ M.シェーファー
絵: ジェシカ・ミザーヴ
訳: 垣内 磯子
出版社: フレーベル館



おにいちゃんになるって、

もしかしたら、
すっごくすっごく素晴らしいこと。
すっごくすっごくワクワクすること。

そんな気持ちにさせてくれる、

鮮やかであったかい色彩の、
生きる力に満ち溢れた絵本。


まず、表紙がとても好き。

優しい表情で赤ちゃんを見つめるお兄ちゃん。
弟かな?妹かな?
赤ちゃんのお腹のうえに、そっと手をのせて。
赤ちゃんも嬉しそう。
お兄ちゃんは、歌をうたってあげてるのかな?
二人がいるのは、どうやら森の中。
ゾウやキリン、たくさんの動物たちが、
これまた笑顔で二人を見守って。。。

この表紙に吸い込まれて、絵本を開いてみると。
もう本当に、全てのページの絵が、素敵!!
鮮やかな、力強い自然の色。
緑が生き生きとしていて、
見ているとワクワクしてきちゃう。

男の子の名前はスペンサー。

元気いっぱい遊んでいたスペンサーは、
ある素晴らしい日、
ついに おにいちゃんになった!
おにいちゃんになるって、
「おひさまみたいに いい きぶん」!

ああ、こんなお兄ちゃんがいたら、
すごくすごく幸せだろうな。
赤ちゃんも、ママもパパも。

この絵本、全ての場面が好き。
中のタイトルでも、
パパと、お腹の大きいママが、スペンサーをギュってしてる。
最後、家族4人でピクニックしてる場面でも、
ママの手は優しくスペンサーに添えられている。
スペンサーがこんなに赤ちゃんに優しくできるのは、
ママとパパの愛し方にも大きな理由があるのでは。。。
と、子育てを学ばせて頂いたりもして。

そして見返しもいいなー。
表の見返しと、裏の見返しのちがい。
うーん、なんて楽しそうなんだろう!!
おにいちゃんになるって、素晴らしいね!!!

2013/12/25

『おひさまパン』



作・絵: エリサ・クレヴェン
訳: 江國 香織
出版社: 金の星社


表紙のおひさまパンのふわふわ笑顔と江國さんの翻訳に惹かれ購入。

最初は、私が1人で楽しんでいたのだけれど、
次第に娘も覗き込んでくるようになり、
1歳になる頃には娘にとってもお気に入りの一冊になった。

とはいえ、まだ1歳なので、
江國さん独特の翻訳を読み聞かせしていると(私は大好きなのだけど)、
おひさまパンが焼ける前に飽きてしまう。笑
なので、内容をざっくりと話しながら、色々と問いかける。
たとえば、最初のページ。

「わー、寒そうだね、雪がいっぱい降ってるよー」
「カバさん、どこだろう?」
「きりんさんは、なにをしてるのかな?」

という感じに読んでいくと、
なんだかすごく楽しいみたい。
おひさまパンを食べて美味しくて幸せで皆が空を飛んじゃうときは、

「とんでるうーー!ういてるうーー!」

と、毎回新鮮に驚いてくれるので笑、
わたしも一緒に驚く!
娘が毎回驚くことに驚くというのもあるけど、
一緒に驚くと、なんかすごく楽しい。


エリサ・クレヴェンさんの絵本は、
細部まで美しく、可愛らしく、幸福な色合いに満ちているので、
大人にとっても子どもにとっても、
いくら見ても飽きない絵本だなと思う。
娘はこの絵本を持って電車に乗ると、30分~1時間は大人しい。
(絵本がない上に地下鉄で外の景色が見えないと5分もたない。。。笑)

というわけで、親子揃って大好きな絵本。
娘がもう少し大きくなったら、
少しずつ、実際の翻訳文も味わってもらいたいなー。

エリサ・クレヴェンさんは、他にも以下の作品がハッピーで大好き。

『ぼくの水たまりバケツ』
『あかいことりとライオン』
『わたしのおひめさま』
『おたんじょうびのエルンスト』

2013/12/19

『たくさんのドア』




作: アリスン・マギー
絵: テウン・ユ
訳: なかがわ ちひろ
出版社: 主婦の友社 



子どもが歩き始めたばかりの頃、

ずっとその手をつないでた。
まだ歩き方はぎこちなくて、
怪我をするんじゃないかと心配で、
手を放すことなんてできなかった。

少し大きくなったら、

私の手を放して歩くようになった。
猫を見つけたり、
犬を見つけたり、
川や、海や、空や、星を見つけて。
大きな声で、教えてくれる。
それは本当に、
まるでひとつひとつ、ドアが開けられていくようだった。
ドアが開いて、そこに現れる世界。
初めて出会った、その驚きと、感動。
怖いことも、泣きたくなることもあったけど、
声をあげて笑うことのほうが多かったね。

そんな娘との時間に、
優しい言葉と絵で寄り添ってくれる絵本に出会えた。

娘は、この絵本の心地の良い言葉のリズムと、
可愛い犬に惹きつけられて(娘は犬が大好きなのです)、
意味はわからないながら、最後まで聴いてくれた。
たぶん、私がすごく感情移入して読んでたからかな。
一緒に読んでくれている感じだった。

繰り返し紡がれる言葉が、心にひびく。

「きょうも あしたも あなたは
 たくさんの ドアを あけていく
 そのむこうに
 たくさんの よろこびが まっている

 あなたは どんなひとに なり
 いったい どこへ いくのだろう
 どうやって こたえを みつけていくのだろう」

娘の開けていくドアの向こうに、
これからも、たくさんの喜びがありますように。
読みながら、そう祈らずにはいられない。
これからさき、娘の人生にも、
どんなにか辛いことがあるかもしれない。
でも、そんなときは思い出してほしい。
あなたは、たくさんのものに守られていると。

絵本のクライマックスも、とても好き。
この絵本は、小さな人から大きな人まで、
たくさんの人に愛される絵本だと思う。
やっぱアリスン・マギーさん、大好き。

2013/12/18

『がちゃがちゃ どんどん』




この絵本は、娘が初めて自分で声を出して読んだ本だ。

0歳の頃から、この絵本の読み聞かせをしていた。声をあげて笑うこともあったけど、途中で飽きてお膝から出ていってしまうこともあった。

1歳2ヶ月の頃、最後まで楽しく一緒に読めるようになった。とくに、最後の「ぷ」が大好き。

1歳5か月の頃、私のあとに続いて、声に出して読むようになった。「とん ちん かん」がお気に入り。

1歳8ヶ月になった今、「ママ、読んであげる」と言って、声に出して読んでくれる。もちろん、文字はまだ読めない。でも、彼女の中で絵と言葉がつながっているようで、絵をみて、「どさん」「ぽきん」と教えてくれる。「ごー」の時は、身振り手振りも加えて読んでくれたりして。

何回も、何回も、繰り返し読んできた絵本。多い日には、10回くらい読んでとお願いされて。眠い目をこすりながら読み聞かせた(思わず全力で読んでしまうので娘の目は冴えわたってしまうのだけど笑)。その絵本を、まさか娘が読み聞かせてくれるとは。そのことが、こんなに嬉しいとは。夜、子どもが寝てから、思い出して涙ぐんでしまった。本を読んでもらって、感動したりワクワクしたことは幼い頃に幾度となくあった。でも、こんなに嬉しかったのは初めてだった。

これからも、いくらでも読んであげたい。何度でも、何度でも。彼女が望むなら、いくらでも。そんな風に思わせてくれたこの絵本に、心の底から感謝。

『なくなったかいものメモ』

なくなったかいものメモ (ぼくはめいたんてい 3)

名探偵ネートの第三巻。エメラルドとオレンジと濃いグリーンの三色イラストが可愛い。

「クロードが落とした買い物メモを拾ったのは誰かな?」と考えながら読んでいくと楽しいかも。パンケーキを作って、ネートと一緒に食べながら考えるというのもアリ♪
きゅうかちゅうでも依頼があればすぐに仕事モードになれるネート君を尊敬。笑

『まよなかのはんにん』

ぼくはめいたんてい(2) まよなかのはんにん

作: M・W・シャーマット
絵: M.シマント
訳: 光吉 夏弥
出版社: 大日本図書


名探偵ネートの第二巻。これまた第一巻に負けず劣らず面白かった!謎ときもさることながら、主人公ネートの魅力的なことといったら。いちいち探偵っぽい喋り方が可愛すぎる。9歳なのに。笑

飼い犬スラッジも登場して、ますます楽しくなりそう。ネートのパンケーキ食べたいなぁ。美味しそう。そして、ネートからママへの置き手紙がとても好き。素敵な親子なんだろうな♪

2013/12/16

『ぼくはめいたんてい(1) きえた犬のえ』

ぼくはめいたんてい(1) きえた犬のえ

作: M・W・シャーマット 
絵: M.シマント 
訳: 光吉 夏弥 
出版社: 大日本図書


ネートは、9歳の探偵です。9歳といっても探偵なので、仕事中は(なるべく)笑ったりしませんし、探偵らしい キリッとした格好をします。出かける時はママへの置き手紙も忘れません。そんなネートのもとに、友達のアニーから、消えた犬の絵を探して欲しいとの依頼が舞い込んできました。ネートは電話ごしに、「その場を動いてはいけない(アニーは足がかゆかったので、足をかくくらいなら、まあいいよ、とのこと)」と指示して、すぐさま駆けつけます。はたして犯人は見つかるのかな、、、?

40年以上、世界の子供たちに愛されている名作シリーズの第一作目。これが本当に面白かった!翻訳は『ひとまねこざる』シリーズの光吉夏弥で、古さを感じさせない読みやすさ。ネートの口調も探偵っぽくて可愛らしい。挿絵は『はなをくんくん』のマーク・シマント。白黒のイラストも、ところどころにあるカラーのイラストも、なんだかオシャレ。児童読みものの分類ながら、大人が読んでも楽しめる探偵ものなので、親子で「犯人は誰かなー?」とか言いながら盛り上がっちゃいそう。新訳本も出ているみたいので、これまた全巻揃えたいー!

2013/12/12

『チュウチュウ通り9番地 セーラと宝の地図』 エミリー・ロッダ

チュウチュウ通りのゆかいななかまたち 9番地 セーラと宝の地図

作: エミリー・ロッダ
絵: たしろ ちさと
訳: さくま ゆみこ
出版社: あすなろ書房




絵本好きな娘が本好きな女の子に育ってくれたら嬉しいなぁと思い、その橋渡しになってくれるような童話を探していたところ、おススメして頂いた。

チュウチュウ通りシリーズの9番地、主人公は賢くて勇気のある船大工のセーラ。なんだか洋服もオシャレ。言うことやること全てカッコいいのに、男の子じゃなくて女の子ってところもいい。

ストーリーは短いのだけど、物語として大人も楽しめる(セーラと友達のスタンプが宝探しに船出して海賊に出くわしちゃった後の展開とかドキドキした)。最後は親子揃って気分よく「おーしまいっ」って言えるような結末で。文字が多い絵本よりも、こういう童話の方が、絵本と児童書の橋渡しとして適しているんだなって思った(これも児童書選びの師匠に教わったのだけど笑)。

子どもが1人で本を読むようになる前に、この童話を読み聞かせしてあげたいなぁ。本棚にさり気なく置いておいて、いつか一人で手に取って、チュウチュウ通りシリーズにどっぷりハマる日がくると楽しいなぁ、と一人夢見る母。シリーズ全巻揃えたい、、、。