2013/07/04

『かえでの葉っぱ』

D・ムラースコヴァー:文
関沢明子:訳
出木根育:絵


『ペンキや』で出久根さんの絵にほれ込み、

この絵本の表紙の美しさに心打たれて手に取りました。

一枚の美しい金色のかえでの葉(片方のふちがピンク色というオシャレさん)が、

遠く遠くへ行きたいと願い、

優しい少年や、ツバメに出会って、

畑や草原を飛んで川に流れて、

そしてだんだんと枯れ葉になって、

空の星を見上げて歌って、

最後はかえでを遠くへ飛ばしてくれた少年の焚き火の葉となります。


 だれでも焚き火のそばでは幸せになるのです。
 
 なぜかはわかりませんが、そうなのです。


ラストのこの言葉の意味を考えながら、

もう一度絵本を読み返してみて、

確かにそうだなぁとしみじみしてしまいました。

焚き火には、

枯葉や乾いた小枝を使います。

その一枚一枚、ひと枝ひと枝には、

焚き火をするその時まで、

それぞれの人生があったのです。

落ち葉になるまで、たくさんのものと出会い、

もしかしたら、この絵本の美しいかえでの葉のように、

風を感じ、空を見上げ、歌ったのかもしれません。

かえでの葉が言うように、

かつてはきれいな緑色だったり、きれいなつぼみだったのかもしれません。



そう思いながら焚き火を見つめると、

なんだか心まで暖かくなる気がします。


絵画のように美しい絵があるだけでなく、

詩のような言葉が一冊の本の中に広がっています。

ずっと手元において、飾って、何度でも読み返したくなる絵本です。

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