ジュディという孤児の少女がお金持ちの謎の紳士に大学へ行かせてもらう。
そこでの生活を一か月に1回、手紙で紳士に報告するという唯一の条件付きで。
ジュディは正体を明かさないこの紳士に、あしながおじさんという愛称を付けて、
まるで肉親に送るかのような親しみのこもった可愛い手紙を送り続ける。
この手紙がユーモアに溢れ、
思わず「ぷぷっ」と吹いてしまう文面が盛りだくさん。
また、孤児院から一歩も出れない生活の中、
刺激や勉学や自由に飢えていたジュディの溢れんばかりの喜びに満ちており、
読んでいてワクワクしてくる。
ジュディの魅力もあるけれど、
手紙という形式がこれまた面白い。
ある日の手紙とその次の手紙の間に、
ジュディの悩みが深刻化していたり解決していたり。
ジュディが大学で習って感動すると、そのことに文体が影響をうけまくったり。
ジュディの望みをあしながおじさんが叶えてジュディが喜びを伝えたり。
ジュディを喜ばせたいあまりに贈り物を贈り過ぎて、あしながおじさんが空回りしたり。
この手紙がジュディの卒業まで続くのだけど、
そのあいだの二人の間の気持ちの変化や距離の変化も面白いし、
ああ、この時のあしながおじさんの意味不明な行動は、
そういう理由からだったのね、可愛いなぁ、おじさん、となったり。
生活の合間合間を縫って夢中で読んで、二日で読了。
ワクワクしながら読んで、
ジュディの快活さや文学好きなところ、
そしてあしながおじさんが与えてくれた環境に感謝し、
あしながおじさんを本当に愛しつつも決して甘えないところに、
ものすごく好感を持った。すごい娘だなと思った。
愛すべき人です、ジュディは。
こんなにも物語の主人公を好きになったのは、
赤毛のアン以来かもしれない。
ところで、ジュディとアンが出会ったら、どんなことになるかな??
二人はとても仲良しになると思うのだけれど、
そんな物語があったら、ぜひ読んでみたいな。
あと、ジュディは心から大学生活を楽しんでおり、
ああ、大学ってこうやって楽しむもんだよなぁと、しみじみしてしまう。
自分の大学生活を懐かしく思うと同時に、
もっと勉学に励めばよかったかしらん、と思ったり。笑
とはいえ、高校生や大学生にもぜひ読んでもらいたいな。
児童文学の名作というのは、一生涯のお付き合いになるよね。
私はサリーほど好きな人はほかにいないと思います―――おじ様は別ですけれども。私は誰よりもおじ様がいちばん好きでございます。なにしろおじ様は、私の家族全体を一まとめにした方なんですもの!(P42)
このおじ様からの花束こそが私が生まれて初めて受けたほんとうの贈り物でございます。私がどんなに赤ちゃんかということを申し上げましょうか・・・・・・私はうれしさの余り泣き伏してしまったのでございます。
これでおじ様が私の手紙をお読みになっていてくださるということがわかりましたから、今後は赤いリボンで束ねて金庫にしまっておおきになる価値のあるような面白い手紙を書くことにいたします。(P55)
義務なんて気持ちの悪い厭な言葉です。子供たちには何事も愛の気持ちからするように教えなければならいと思うのです。(P113)
世の中には幸福が満ち溢れていて、自分の前にきたものを何でも受けいれる気にさえなれば、誰にでもまんべんなく行きわたるだけ、十分にあるのです。ただそれを受ける秘訣は素直な気持ちでいることです。(P136)
何より大切なのは、大きな素晴らしい喜びではなく、ささやかな喜びを見出していくことです―――おじ様、私は幸福になる本当の秘訣を発見しました。それは現在に生きることです、いつまでも過去のことを悔やんだり、未来を思いわずらったりしていないで、今のこの瞬間から最大限度の喜びを探し出すことです。(省略)私は一秒一秒を楽しみ、しかも自分がそれを楽しんでいることを自覚しているのです。たいていの人は生活しているのではなく競争しているのです。地平線の遥か彼方の決勝点に一刻も早く着くことにばかり熱中して、息を切らせてあえぎながら走っていて自分の通っている美しい静かな田園風景など眼にも入らないでいるのです。そのあげくにまず気がつくことは自分がもう老年になり、疲れ果ててしまい決勝点に入ろうが入るまいが、どうでもいいことになっているのです。私はたとえ大作家になれなくてもかまいませんから、人生の路端に坐りこんで、小さな幸福をたくさん積み上げることにしました。(P159)
二伸
これは私が生れて初めて書いたラブレターです。ちゃんと書き方を知っているなんて妙ですわね?(P218)
なんかもう、これは、好きになっちゃいますよねぇ。
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